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っており、特に陸送費用を分離した計算とはなっていない。そのため、どの部分がコスト削減分として自分たちに還元されているのか明確でないというものである。大手・中堅企業においては運送会社との扱い交渉の中で情報を得て、自社なりの原価計算をしている。
ウ.波及効果
コスト削減が1TEU当たり約5万円とすると、松山港の年間取扱量からすると、(フィーダーについては陸上扱い区間が短いため1本2万円と低めに見積もった)
@50,000円×10,000TEU=500百万円…定期外航航路分
@20,000円×10,000TEU=200百万円…内航フィーダー分
計700百万円
のコスト削減が実現されたことになり、経済全体に与える効果は大きい。
また、地元で扱うことによって地元の港湾関係事業者の育成、雇用の確保、ひいては所得の向上につながっている点も評価される。
(4)地方港利用の障害
輸出入企業が地方港を利用する際の障害点として、航路の運航頻度などのサービス供給者側の要因の他に、サービス利用側の要因として以下の事項が挙げられる。
ア.ロットの小ささ
一般に中小企業が輸出入を行う場合、一回当たりの取引単位が小さいので、通常の商取引となりにくく、コンテナ利用が難しい。このため実現に至っていない例も見受けられる、これらについては、共同輸入・輸入代行等の可能性を模索していく必要があろう。
イ.商社の関与
輸入貨物の開拓は、輸送の主導権が国内にないことが多いので、輸出荷主へのセールスのようには、スムーズにいきにくい。しかも、輸出入取引には、多くの場合、東京なり大阪なりの商社が関与している。直接地方港を利用しようとしても、商社サイドでは事務負担の増加を嫌い、引き受けに抵抗のあるケースもみられるようである。
一方、輸入利用者としても、商社を経由することによって、リスク分散、集配機能への期待、情報提供等の機能にも期待する部分が大きく、直接貿易にはなかなか踏み込みにくい現状がある。
ウ.大手企業のスタンス
大手企業の場合、物流のルート選択権は地元になく、東京・大阪の本社で管理しているケースが多い。
大手企業の場合、最も重視するのは確実性であり、次にコストであるとされる。現

 

 

 

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